●受験生への手紙

3月末から4月始めには、
新入学を果たした子供のいる家庭には、
大量のDMが届くことだろう。
制服、学習机、塾の案内など。

でも、それらのDMはたいてい「ごみ箱直行」だろう。
売る側の都合のDMが、同時期に大量に届けば、
消費者はいちいちそれらにていねいに目を通すことはない。

でも、山梨県のある時計店には、新入学の生徒と親が、
たくさん時計を買いにやってきた。
この時計店は、他社のように3、4月にはDMを出していないのに。

では、どうしたのか。
それは、彼らが受験に苦しんでいる厳冬期に、
「出題予測受験問題集」を送ったのだった。
しかも、合格祈願おまもりと、使い捨てカイロを添えて。

カイロで体を温め、問題集で自信をつけ、
おまもりを持って受験に臨んで合格した子供たちは、
「入学祝いなら、あの時計屋さんから買って欲しい!」
と親に懇願して、腕時計を購入に訪れたのだった。

お客が買いたい時期にDMを送る。
それは理にかなっている。
でも、多くのライバルが同じことをすれば、ワン・オブ・ゼムにすぎない。

買うかどうか分からないが、お客が困っている時期に、
お困りを救ってくれるようなDMが届けば、
それは心にしみて、いつまでも記憶に残るものである。