《第109話》
月面で遭難したら
「もうダメです。打つ手も意欲もなくなりました」
歳末セールを取りやめた商店街役員の方が、さびしそうに言いました。20年前にリニューアルした街路灯、カラー舗装もすっかり老朽化。そして昨年、かろうじて続けてきた歳末セールが、ついに中止になったものです。この商店街にかぎりません。全国の多くの商店街が、似たような状況でしょう。
打つ手がなく、行動力を失った商店街。でも、だからといって、何もしないままで、このまま滅びてしまっていいものでしょうか。
「何をしてもダメだ」といって何もしなければ、衰退が進むだけ。それをじっと耐えるぐらいなら、せめてもう一度再生にかけてみてはどうでしょう。打つ手が何もないように見えても、必死に考えてみれば、まだ活路はどこかに残っているはずです。
そこで唐突ですが、『月面で遭難したら』というテストを試してください。このテストは、逃げようのないピンチに追い込まれた状況で、生き抜く方法を考えてもらうものです。商店経営や商店街活動のヒントが、そこから得られることでしょう。さあどうぞ、真剣に考えて、生き抜く手段を探ってみてください。
15品目の選択
「あなたたちの乗った宇宙船が壊れて、月面に緊急着陸した。母船は、月面上で約300キロ離れている。母船にたどりつかないかぎり、確実に死が待っている。手元にある使えそうなものは、次の15品目だけである」
1 マッチ箱
2 宇宙食
3 ロープ
4 パラシュート
5 携帯ヒーター
6 拳銃2挺
7 粉ミルク1ケース
8 酸素ボンベ2本
9 月面用星座表
10 自動的にふくらむ救命ボート
11 磁気コンパス
12 20リットルの水
13 照明弾
14 注射器入り救急箱
15 FM送受信機
この15品目を、重要な順に順位をつけて、それを活用して生き抜く方法を考えること」というテストです。このような追い詰められた状況を想定し、知恵を絞りぬいてみると、意外なことに個店や商店街にも応用が利くことに気づくはずです。
このテストの目的は四つあります。
一つは、資産に順位をつけること。それにより、個店や商店街の残された資産の、どれに力を入れるべきかを判断するセンスが生まれます。
二つは、不要資産を切り捨てること。たとえば、この設問にNASAが示した正解では、全品目中最下位は「マッチ箱」。月面で役に立たないものは、捨てるべきです。商店も、不良資産を捨てる勇気が必要です。
三つは、常識になかった発想をすること。たとえば、月には空気がないという『知識』があれば、「パラシュートは役に立たない」と考えます。でも「強い太陽光をさえぎる布として使えないか」という『知恵』が浮かべば、不要と思ったパラシュートは、役立つ道具に変わります。個店や商店街の資産も、違う生かし方が発想できないでしょうか。
生きたいなら動け
そして四つ目は、このテストは一人で考えるより、グループで討議した方が正解に近づけること。商店街有志が必死に知恵を絞れば、活路が開ける可能性が生まれそうです。
月面で遭難した経験のある人は、誰もいません。そして社会状況もまた、高齢化、少子化の押し寄せる日本の未来がどうなるかは、誰も正確に予測することはできません。そう。「誰も経験したことのない状況」では、知識以上に知恵を使うことが肝心。それと、行動することが不可欠です。じっとしていては死ぬだけ。生きたければ、動くことです。
ところで。あなたは月面の遭難から無事に生還できたでしょうか。正解を知りたい方は、私のHP内で答えを探してみてください。