《第116話》

販促のジレンマ


「DMとチラシ?やめましたよ。だって効果がほとんどないんですから。レスポンス率が低いんじゃ、経費と手間をかけるのがムダですからね」


DM

 商店主から、そういう話をよく聞くようになりました。たしかに最近は、販促の効果が得にくくなっているのは事実です。DMもチラシも、消費者に一度も見られないまま“資源ゴミ直行”というケースがかなりあるはずです。

 最近の消費者には、何がなんでも買いたいという商品は、そうはありません。どの家庭も、暮らしに必要なものは、一応はそろっているからです。いわば“ほどよい満腹” 状態。販促媒体を見ても、購買意欲が湧きにくいのは当然かもしれません。

 加えて、メディアの多様化があります。インターネットで検索して、携帯電話で情報交換をするのは、今では普通のこと。チラシやDMを見なくても、商品情報は集められるのです。

 経費が負担になるので販促をやめたい。でもやめると、よけい売上ダウンしかねない…。そういうジレンマを、商店主はどのように解決すべきでしょうか。

宣伝は価格を安くする

 消費者懇談会に出席した時、主婦代表の方から質問がありました。

「メーカーや小売店はずいぶん宣伝費をかけると思いますけど、それが商品価格に転嫁されるのは納得いきません。宣伝をやめて、その分、価格を安くしてもらえばありがたいんですけど」

 これは意外と多くの消費者が抱いている疑問です。それに対し、私はこう答えました。

「お気持ちは分かりますが、誤解があります。宣伝費をかけると、普通は商品価格は安くなるんです

 たとえば、宣伝なしで千個売れると見込める商品を、原価に千円上乗せして売れば、トータル百万円の粗利益が見込めます。
 ではその商品を、宣伝費をかけて全国に十万個販売する計画ではどうでしょう。一個の利益を百円に減らしても、トータル一千万円の粗利益が見込めることになります。宣伝費を五百万円かけたとしても、五百万円の利益が残ると試算できるわけです。


 つまりこの場合、販促により価格は九百円安くできる上、利益は数倍高く見込めるわけです。消費者にとっても、製造・販売側にとっても、どちらもメリットが生まれることになります。

 だから正しい販促を実施することは、決して間違いであるはずがありません。問題は、販促が効果がないのではなく、効果のない販促をしていることだったのでしょう。

販促は誰のため?

 自宅でパーティーを開く時には、集まってくれる人を喜ばせようと、飾りつけや料理に趣向をこらすでしょう。そしてお知らせする電話やメール、手紙などで、歓迎する気持ちを精一杯伝えようとするはずです。

 そう、販促媒体も同じ。DMやチラシは消費者への大切な招待状でした。もらった相手が喜ぶことが重要だったのです。
 「販促は効果がない」というのは、お客様のためではなく、店の売上のためのDMやチラシをせっせと作っていたのでしょう。気持ちは分かりますが、消費者は宣伝臭の強いDMやチラシには意外と無関心。だからせっかくの販促媒体が“資源ゴミ直行”になってしまうものです。


 いい販促媒体づくりは、絶対必要です。本誌発行の著書などを参考に、ぜひトライしてください。お客様がもらって喜ぶチラシやDMができれば、業績アップの切り札として必ず役立つはずです。




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