《第118話》

繁盛店の法則


 「こんな時代でも、しっかり業績をあげている個店はありますよね。そういう店を数軒訪問する事業を、研修で実施したいんですが」

 T町商工会からそういう相談があり、企画のすべてが私にまかされました。T町は、工業はほぼ景気回復の波に乗りつつあるものの、商業、サービス業は大都市やロードサイドの吸引力により、小さな店が苦境に追い込まれているのが実情です。そこで活路の見出せない商店主たちに対し、商工会が「成功している小さな店の実例を見て、そこから繁盛のヒントを学ぼう」と提案して、今回の事業実施に至ったものです。

 そして商業部会、サービス業部会合同の『視察研修』が、一泊二日の日程で実施されました。二日間ほぼ目いっぱい、移動と視察に使うという強行日程です。それにもかかわらず、20名の商店主や飲食店経営者が参加しました。

 視察先は、メガネ店、陶器店、菓子店、米穀店、珈琲店。それと、首都圏からも多くのファンが訪れる、交通不便な場所にある小さな古い旅館です。さまざまな業種で、小規模店でも頑張れる実例に出会えたことで、今回の研修参加者の皆さんも、それぞれがヒントをつかんだようでした。

立地に頼らない

今回訪問した店は、家族経営、あるいは従業員数名、一番大きいところでも十数名規模の店です。そして立地は、ほとんどの店が“不利”と思われる立地に位置しています。ある店は、空き店舗の増えた商店街内に。ある店は、ほとんど車の通らない県道沿いに。それでも、どの店にも活気があり、お客の姿が見られることから、『いい店は立地に頼らないでも成り立つ』ということが、参加者には確実に感じられたでしょう。

 そしてたぶん、参加者にとって意外だったのは、繁盛店経営者には、穏やかな性格の人が多かったことです。業績を伸ばしているというと、バリバリ行動する熱い店主を連想しがち。もちろんそういう人も、世間には結構いるでしょうが、今回出会った経営者たちは、みんな控えめで謙虚な人ばかりなのでした。

 大型量販店なら、常に競合店の動向を気にして、ライバルとの価格競争に神経をすり減らさなければなりません。でも小規模店は、顧客満足を忠実にまもり、さらにそこから少しずつ、新たな顧客を増やすことを心がければ、堅実な経営が保証されるのでしょう。優良店の経営者たちは、それを感覚的に知っているようです。

法則はシンプル

 今回訪問した各店は、業種もポリシーもさまざま。でも、経営者にある種の共通点を感じることができました。それは、

●自分で決める

 何かにトライする際、情報を集めたり、人の意見を聞くことは大切です。でも彼らは、最後は他人の意見に左右されずに、方針は自分で決断してきたようです。

●自分で動く

 すぐれた経営者は、みんなフットワークが軽いものです。自分が決めた方針を、自分が先頭に立って動けば、家族も従業員も、そして顧客もついてきてくれるものなのでしょう。

●自分を信じる

 今回の繁盛店はそれぞれ、業界の常識にとらわれないで、独自に考えた方策を実践していました。誰もやらないことに、自分を信じて挑戦することができるかどうかです。

 繁盛店の法則は、このように意外とシンプルな共通点に潜んでいそうです。小規模店の活力アップに、有効な手段となり得るでしょう。だからぜひ『繁盛店見学ツァー』を、あなたのところでも実施してみてください。



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