《第122話》

ミスマッチに機会チャンスあり


  
 中小小売店の業績ダウンには、大きく分けて二つのパターンがありそうです。一つは、改善努力を放棄したジリ貧ケース。売上低下を大型店のせいにして、やるべき行動をしていない店です。あなたの周囲にもたくさんいることでしょう。

 そしてもう一つは、真剣に仕事に打ち込んでいるのに、それでも売上がズルズル落ちていくケース。そういう方から「私の努力が足りないんでしょうか?」と悲痛な顔で聞かれると、大変せつない思いにとらわれます。

 努力放棄の店はどうしようもありません。いずれはシャッターが閉まることでしょう。でも、ひたすら自店の改善に取り組んできた人たちには、ぜひとも活性化の糸口をつかんでほしいものです。

 そこで思うのは、まじめなのに業績が落ちてきた人たちというのは、ひょっとしたら、まじめすぎたことが弱点ではないか、ということです。

 店のコンセプトを定め、ターゲットを絞りこんで、本業をまい進する。それが商いのセオリーです。でも、それでも業績改善が望めないなら、視点を変えてみたほうが、活路が開けるのかもしれません。

野菜を売った自動車屋

 ある自動車ディーラーが、女性向けの軽自動車発売キャンペーンを計画しました。では新車展示会場に、できるだけ多くの人に足を運んでもらい、さらに契約に結び付けるには、どうしたらいいでしょうか。

 まず思いつくのは、試乗会や、“来場者へのプレゼント”でしょう。でも限られた販促予算では、来場者へのプレゼントといっても、数十円から百円程度のグッズがせいぜい。それでは消費者が、会場に行列を作るほど来てくれるとは思えません。

 そこでこの会社は、自動車を売るという本業をはずれた、実にユニークな方法を企画しました。それは、『百円で朝採り野菜とり放題』というイベント。JA直送の野菜を会場に山積みにしておいて、先着千名の方に、ミニバケツに好きなだけ野菜をとってもらうというものです。

 このイベントに、主婦たちが殺到しました。でも、ミニバケツに山盛りに野菜を積めば、不安定な上、重さも結構になるので、歩いて帰るのは大変。そこに営業所の社員が、「車で家までお送りします」と声をかけたのでした。

 百円で野菜をとり放題した上、しかも車で家まで送ってもらったとしたら、どうでしょう。主婦たちは感激します。そして同時に、買い物に自分用の車が欲しいと感じ、その晩は夫におねだりしたことでしょう。

 自動車屋が野菜を売る。この意外なキャンペーンによって、このディーラーは驚異的な販売数を記録したのでした。
(参考資料「究極の集客術・企画術」松井渉著)

業種店にこだわるな

 まじめに取り組んでいるのに、業績低迷に悩んでいるのは、おそらく業種店の方々でしょう。消費者は業種店より業態店を好む傾向があります。だから業種店は、本業をしっかり推進しながらも、本業以外で消費者の喜ぶミスマッチも検討されてはいかがでしょう。

 商店街にあるCD店、文具店にも、真剣に取り組んでいても“苦戦”を強いられている店が、少なからずあります。そこで店舗指導にうかがったそれらにお店に、あるミスマッチ商材を置くよう提案。すると女性の来店者が増えたとの、うれしい反応が聞かれました。

 消費者は、「もの」を買うだけでなく、店には「楽しさ」も求めます。そしてお客様が喜ぶなら、ミスマッチと思える商品やサービスを扱ってもかまいません。大切なのは自店の理念以上に、顧客満足なのですから。






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