架け橋ビジネス
景気回復、消費拡大と言われていても、地方の中小小売店には、おそらく好況の実感はほとんどないでしょう。“隠れ不況”と大型店の脅威で、零細商店や商店街は、体力とやる気を消耗しているのが実情のようです。
もちろん、苦境を脱出しようと奮闘する商業者も、少なくありません。ただ問題は、やる気だけでは大型店に勝てないこと。力勝負ではなく、知恵を出して、大型店にはできない活性化作戦に挑戦してほしいものです。
そこで、視点を変える必要はありそうです。店の業績アップ策が欲しいとは思いますが、まずはお客の側の視点に立ってみるべきでしょう。なぜなら、店をもうけさせたくて来店するお客はいません。いい商品、サービスで満足したいから、来店してくれるものです。だから、店が得する方法でなく、お客が得する方法を考えることが大切。その一つの方法が、“架け橋づくり”です。
無料が学生をひきつける
タダをアピールした大学向けの新ビジネスが二つ、注目されています。一つは、無料コピー。コピー機を大学内に置き、学生たちが無料で自由にコピーできるというものです。なぜ無料でコピーできるかというと、そのコピー用紙の裏面は企業の広告。通常のコピーは、裏面が白紙でもったいないもの。そこに着目して、裏面を企業広告として利用するというアイデアです。
こうすれば、企業は確実に学生に広告が届けられますし、学生はタダでコピーができます。つまり、宣伝したい企業と、コピー代を節約したい学生、双方を結びつけたところに、新しいビジネスが生まれたものです。
もう一つの事例は、無料自転車。大学構内の、卒業生らが置き去りにした放置自転車を回収・修理して、それを四年間、学生に無料でレンタルするものです。自転車には、カゴ、車体、泥よけなどに企業広告が入り、その広告収入で運営するシステムです。
学生は無料で自転車使用。大学当局は、頭の痛かった放置自転車が一掃されて大助かり。そして企業にとっては、広告入り自転車が四年間、学生とともにまちなかを走り、動く広告の役割を果たしてくれることになります。まさに『三方一両得』ともいえるアイデアでしょう。(ただ、地元の自転車店にとっては、売上減を招くので、苦々しく感じるかとは思いますが)
それぞれの悩みも、リンクしてみると解決策が生まれることがあり、誰と誰を結べばいいかに気づけば、そこにビジネスが誕生するということ。それが架け橋ビジネスです。
困りごとを探せ
そういう架け橋づくりを、商店街や個店でも検討してはどうでしょう。一例としては、空き店舗や店先を利用した「朝市」。消費者は新鮮な朝採り野菜が買えてうれしいし、農家は新たな販売地点確保で、収入アップが図れます。消費者と農家、どちらも喜び、その架け橋としてお役に立つことで、結果としてまちなかを訪れる人が増えそうです。
さて、前述した大学の無料自転車の事例なら、売上が減った自転車店は、まちなかでの架け橋づくりに挑戦できないでしょうか。使わない自転車の始末などで、困っている人はたくさんいるはずです。
商店街や中小小売店にとって、独自の架け橋づくりは、有効な活路になる可能性がありそうです。大型店にできないオンリーワン手法開拓に、どうぞ知恵を絞ってみてください。
ただ……。いくら考えても、方法が思いつかないという時は、ご相談を。あなたの店や商店街と、あなたの地元の消費者を結ぶ架け橋になるのが、商業アドバイザーが果たすべき役割なのですから。
