《第132話》

「困った」を逆手にとる


  

ガソリンが高いですね。それに灯油が高いのも、頭の痛いところです。おそらく遠出のドライブを控えたり、部屋の暖房温度を下げたりと、この冬は涙ぐましい努力をする家庭が多かったことでしょう。

消費者以上につらいのは、仕事のため大量に石油を必要とする多くの企業や商店。石油を使わないと仕事にならないのですから、「困った、困った…」という日々をすごされているのではないでしょうか。

原油高騰に加え、小麦などの原材料も値上げラッシュ。多くの業界が悲鳴をあげています。やむを得ず価格を値上げすれば、消費者の買い物に影響が現れるのは必至。財布のひもが固くなり、消費動向をいっそう冷え込ませるでしょう。商業者にとっては、まさに一大事です。

ガソリンなどの値上げは、たしかに困ったことです。でも、ぼやいたところで、問題が解決するものでもありません。それなら視点を変えて、そういう困った状態を逆手にとることを考えてみてはどうでしょうか。

ローカル鉄道のアイデア

福島県と宮城県を結ぶ第三セクターの鉄道会社「阿武隈急行」は冬限定で、ガソリン高騰を逆手にとったユニークなサービスを打ち出しました。それは『通勤定期団体サービス』。鉄道沿線の事業所で、まとめて3名以上の通勤定期を購入すると、団体割引サービスが受けられるというものです。15名以上の従業員が六か月定期を購入すれば、実に30パーセントの割引が受けられます。

地方都市の通勤手段は、ほとんどがマイカー利用。でも多くの人が、最近のガソリン高騰に頭を痛めているはずです。事業所がこのサービスを利用すれば、従業員の通勤経費がぐんと安くなる上、冬でも渋滞に遭うことなく通勤できるようになります。それに、市内に通勤用月極め駐車場を借りていた人は、その経費を浮かすことができますから、おこづかいも増えるでしょう。

車に頼りがちな地方の住民にとって、車を使わない通勤は苦手です。でもガソリン高騰という時期に、電車通勤のメリットをアピールすれば、これを機会に通勤方法を切り替える事例は結構現れそうです。
もう一つ、ガソリン高騰を逆手にとった事例を。東京・新宿にある百貨店は、「車一台に四名様ご乗車でのご来店で駐車場一時間無料」サービスを、昨年八月からスタートしました。都内の二酸化炭素排出量を減らすことにも効果がある上、利用者にしてみれば、それぞれが四台の車で来るのでなく、相乗りで四人で一台で来れば、ガソリン節約になるし、駐車料金も節約できます。家族で、あるいはご近所が誘い合っての、四人乗りの乗用車が多く見られることになりそうです。

相手が得する

ガソリン高騰など、経営を厳しくする事態に直面すると、経費節約など「できるだけ自社が損しない」方法で対処しようとたいていは考えます。でも、ガソリン高騰はみんな困っていること。そういう時期に「相手が得する」方法を提案すれば、喜んでもらえるのではないでしょうか。そこに、従来なかったサービスが誕生することになります。それが、「困った」を逆手にとるということです。

鉄道会社の団体通勤定期は、経営の厳しい地方の第三セクター鉄道にとっては、利用者を増やすための方策。百貨店の駐車料金サービスは、一台に四人乗って来てくれるのですから、来店客数アップ策。でもどちらも、「相手が得する」というところから発想しているところが素晴らしいところです。あなたもぜひ、相手が得する知恵で、業績アップを目指してください。





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