ターゲットを絞るな
三世代同居などの大家族なら、洗面所には数種類の歯磨きが並んでいることでしょう。若い世代は歯を白くしたり、お口の香りをさわやかにするものを。そして中高年世代は、歯周病予防用などを。どのご家庭でも、ご家族それぞれ、年代によって、歯磨きに求める要素は異なるものです。だから歯磨きメーカーは、それぞれのターゲット世代にあわせた商品開発をするものです。
さて、まだターゲットという概念が未成熟な時代には、どの商店街にも、雑多な商品を並べた『よろず屋』と呼ばれる店がありました。「いろんな商品があります。皆さん、買いに来てください」という店です。でも時代とともに、そういう店は減少していきました。
ターゲットを絞ることは、小売業にとっても重要なことです。今の時代は「○○○を売っています」というコンセプト明確な専門店か、「こういうライフスタイルのお役に立ちます」という業態店が主流。大型店ならいざしらず、小規模店舗の場合は「皆さん、来てください」という店より、ターゲットを明確にしたほうが、消費者も店を選びやすいのです。
だから、ターゲットを絞るのは小売業の重要な戦略。ただ、場合によっては、ターゲットを絞らないほうがいいこともありそうです。そのひとつが、商店街イベントです。
イベント成功のヒント
K町商工会で、商店街イベントのヒントをお話したとき、こういう質問をする方がいました。
「商店街イベントも、ターゲットを絞ることが成功の要因だと思いますが、どういう客層をターゲットにすればいいでしょうか」
この質問者は、マーケティングの勉強などを熱心にしていたので、その知識を基に、そういう質問をしたのでしょう。それに対し、私はこう答えました。
「商店街イベントでは、ターゲットを絞るべきではないと思います。老若男女、多くの人に足を運んでもらい、楽しんでもらうこと。それができればイベントは成功です」
地方の小都市の場合、集客のターゲットを絞ってしまったら、予想来場者数はかぎられたものになってしまいます。それにターゲット以外の住民にとっては、まったく関心のないまま終わってしまうでしょう。だから地方都市のイベント、商店街のイベントの場合は、できるだけターゲットを絞らないで、広く呼びかけるほうが、成功する確率は高くなると考えられます。
「でも、ターゲットを絞らないのでは、店の売上げにつながらないのではないですか?」
との再質問がありましたが、その質問に対しては、こうお答えしました。
人を集める
「商店街イベントはお客を集めるものではありません。人を集めるものです。楽しいことを企画して、多くの住民の皆さんに足を運んでもらいましょう。そうすれば、いい店に出会ったとき、おそらく買い物をしてくれるようになるでしょう」
イベントの楽しさにひかれて、商店街にやってきてくれた人たちは、普段は車で通過する街並みを、ゆっくり回遊するでしょう。そして、興味のある店を見つければ入店し、買い物をしてくれることが期待できます。つまり、イベントの目的は人を集めること。人がお客に変わるかどうかは、それぞれの店次第なのです。
最近残念なことに、イベントを休止する商店街が増えています。でもやり方を見直せば、効果は大いに期待できるはず。ぜひあなたの商店街も、イベントで広く人を集めてください。そしてあなたの店の魅力で、人をお客に変えてみせてください。
