運転理論
ガソリンや軽油の高騰に、ため息をつく方が多いと思います。配達業務が多い商店ともなると、燃料代はかなりの経費。おそらくは車を運転する際、経路短縮を考えたり、エアコンをできるだけ我慢するなど、涙ぐましい省エネの努力を心がけておられるのではないでしょうか。
とはいえ、嘆いてもガソリン価格が安くなるものではありません。それなら「転んでもただでは起きない」発想をしてみてはどうでしょう。それは、運転という動作の中に、経営改善のヒントを発見する、ということです。
あなたは自動車を運転するとき、主にどの計器を見るでしょうか。普通の運転者なら、走行中はおそらく、速度計をもっともこまめに視認。そして時々、他の計器にも目をやるものです。燃料計でガソリン残量を確認したり、水温計に異常がないかをチェックしたり。さて、複数の計器確認が、車を快適に操作する運転技術のカギだとすれば、その手法は経営にも生かせないでしょうか。
計器はバランスよく
車の運転の際は、計器をバランスよく見るのが常識。でも、経営の場面では、「計器をよく見ない」という部類の経営がよくあります。たとえば、国や自治体経営の多くは、『燃料計のみ重視型』。速度よりも、燃料の残量を気にする走り方です。お役所のやり方は、燃料計の針が、3月末にゼロになるのを目標に車を走らせるようなもの。「お役所の仕事は遅い」と、住民から不満の声が出る理由は、そういうところに原因がありそうです。
ベンチャー企業や、価格競争の激しい業界はどうでしょう。こちらは他社より一歩でも先を行くことが優先課題。いわば『速度計重視型』です。しかし競争に追われているうち、気付いたら燃料計がゼロという事態におちいることもありそう。ライバルとの競争に気をとられ、キャッシュフローをおろそかにした結果、経営が破たんするようなケースです。
もう一つ、恐いのは『水温計無視型』。水温計の針が通常レベルを超えるのは、車の内部に異常がある証拠。その時点でボンネットを開けて、点検しなければいけません。それを放置すれば、最悪の場合運転不能になります。社内のモラルが欠如し、それを放置していた企業を考えてください。欠陥商品や、表示偽装などが消費者から総すかんを食って、営業停止に追い込まれた、いくつもの企業の事例が思い浮かぶのではないでしょうか。
車の運転に必要なのは、すべての計器を観察すること。それと同様に、経営にも複数計器の活用を考えてみることです。ぜひ商店にも、自店の経営状態をチェックする計器パネルの必要性をお忘れなく。
目的地はどこ?
速度計(事業の進行状況)、燃料計(キャッシュフロー)、水温計(危機管理)、この三つの指標を心がけていれば、どうやら円滑な経営が遂行できそうです。車の運転も経営も、複数計器のチェックが大切でしょう。
ただし。車の運転にはそれ以前に、もっと重要なことがありますね。それは、最初に目的地を決める、ということ。目的地が決まれば、時間や燃料はおおよそどれくらいかかるか、どのルートを通るのがスムースか、運転者は頭の中で組み立てるものです。
経営はどうでしょう。商業を取りまく環境は厳しいので、「何のために店を経営しているのか」を忘れがち。でもやはり、運転に目的地があるように、商店経営にも目指すべきものがあるはずです。
それでも、「目的地が分からない」というなら、その時は、せめて方向だけは定めましょう。進む方向さえ決めれば、そこから新たな経営の旅が始まりそうではありませんか。
