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ラジオ福島「ビジネスサポートトピックス 経済NOW」

  2009年3月11日放送

  with 小川栄一アナウンサー



自治体経営を改革するヒント


(小川)
福島県内も人口減少傾向が始まり、多くの市町村で過疎や高齢化が大きな課題になってきている。自治体も経営感覚を持って、地域の活力づくりが必要と思われるが、そこで今日のテーマは、自治体経営を改革するヒント、ということだが。

(小柳)
おそらく多くのまちが、過疎と高齢化に悩んでいると思う。そこで今日は、小さな村だけど、子供の生まれる率が高く、人口増加に転じたという、活力づくりに成功した村の事例を紹介したい。

(小川)
とても興味深い事例だが、それはどこの村か。

(小柳)
それは、長野県の下條村。長野県の南部にある、人口約4200人の村。小さな村だけど、人口と出生率が増えているという、いまどき珍しい事例だ。

(小川)
全国的に少子化で、小学校や中学校では生徒数が減るという傾向があるが、子供が増えているというのはすばらしい。

(小柳)
一人の女性が、一生に何人の子供を産むかの平均を、合計特殊出生率という。全国平均は1.34という数値。つまり、一組の夫婦には、子供一人という世帯が一番多い。でも下條村は、2.04人。そうなった一番大きな理由は、若い夫婦がたくさん下條村に住むようになったことだ。

(小川)
若い人は、都会のほうが好きだと思うけど、なぜその村には若い人たちが移住してくるのか。

(小柳)
それは、若い人たちが住みたくなることをしているから。村営住宅は、2LDKに、駐車場が2台分ついて、家賃は3万6千円。いまどきは夫婦でそれぞれ車を使う家庭が多いから、駐車場2台分がタダというのは魅力だろう。そこで、近くの飯田市に住んでいた人たちが、この村に移住するようになったものだ。

(小川)
なるほど。通勤に20分程度かかるとしても、駐車場つきでその家賃なら住んでみたくなりそうだ。

(小柳)
そしてこの村は、中学3年生までは医療費がタダ。これもまた、安心して出産と育児ができるということで、出生率を上げる効果を生んでいるんだろう。

(小川)
たしかに、家賃が安くて、子供の医療費が無料ということで、この村に住んでみたい人が多いことはよくわかった。ところで、そういう事業を推進するとなると、心配なのは予算措置だが、小さい村で医療費を無料化できたのは、どういう秘密があるのだろうか。

(小柳)
それは、徹底的に、ムダな予算を削っていったこと。「お役所仕事」という言葉があるが、どうしても自治体の職員には、効率的な予算の使い方が苦手な人が多い。その意識を、今の村長が先頭に立って、変えていったものだ。

(小川)
なるほど。ムダな予算を削れば、他の仕事にそれを回すことができる。たしかにそのためには、まずは意識改革が必要なのだろう。

(小柳)
そして、もう一つ。自治体の落とし穴ともいえるお金に注目した。

(小川)
自治体の落とし穴とは何か?

(小柳)
それは、国の補助金。補助金は、タダでもらえるありがたいお金、ということで、自治体は補助金獲得に力を注いできた。でも、そういう考え方が、自治体の財政を弱らせた、ということ。

(小川)
補助金が自治体を弱らせるとはどういうことか。

(小柳)
たとえば、近代的な下水道を入れようとするとどうだろう。たくさんのお金が必要になる。そこで、国に補助金を申請する。そして、補助金で足りない部分は、地方債という借金でまかなえばいい。そうすれば、とりあえず、手元にお金がなくても、事業は実行できる。でも、借金は返さなければいけない。その借金の返済が、どの自治体にとっても、後から重圧になってのしかかってくるということ。

(小川)
そうか。後から借金を返すことを考えると、国の補助事業に飛びつくのは、自治体の財政を弱らせることになる、ということか。

(小柳)
そのとおり。だから下條村は、そういう公共事業を我慢した。そして、住民への協力も要請した。生活道路整備は、役場がやるのではなく、住民にコンクリートと砂利を準備して、「自分たちでやってください」とお願いした。でも、それは予算削減効果だけでなく、自分たちの地域は、自分たちでよくするという、住民が主役の意識も育てる効果があったようだ。


(小川)
なるほど。下條村は、ムダな予算を削り、国の補助事業にも簡単に飛びつかないことで、自前で作れる予算を確保した。そのお金で、若い人たちに住みやすい村づくりを推進した。小さな村でも、知恵と努力で活性化への道を歩むことができるという、いい事例だろう。ぜひ県内の市町村も、地域活性化に向けて、ますますがんばってほしいと思う。


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